新規事業構築におけるアイディア発掘技法と経営者に必要な成功の公式
新規事業構築を行うためにとても重要なことがあります。
販売におけるマーケティング戦略の立案や人材育成、市場リサーチなどが大切なのは当たり前。より大切なのは新規事業として興すに足る事業となりうるのかということです。
新規事業のアイディアがなんとなく出した程度のものであれば、結果がその程度になってしまうのは火を見るよりも明らかです。何となく生まれたアイディアでも良いのですが、大切なのは先に繋がるものかどうかです。
とても大切な価値観として、新規事業を興すとき、そのアイディアが「新規事業として必要とされるものなのかどうか」を、よくリサーチしてみることを強くおすすめします。
変化していく現代の中で、どんな立ち位置、どんなブランディング、そしてそんな競合に囲まれて生きていくのか。
新規事業を立ち上げるということは、それらすべてを事前に徹底的にリサーチするところから始まります。
新規事業のアイディアを発掘する
「マインドが大事」「どんな人を幸せにすることが目的なのか」など、使い古された言葉は今でも健在です。
歴史をさかのぼるとほぼ必ず話題に上がる名作があります。孫子の兵法や三国志、明治維新といった過去の出来事が、なぜ現代でもこんなに色濃く描かれているのでしょうか?
キングダムやマンガ版に解釈しなおした歴史文学が、なぜこんなにも人気なのか?しかもそれを、多くの経営者や成功者といわれる人たちが注目しているのはなぜなのか?
理由はとても簡単で、昔から現代まで人間の本質が変わっていないからなのです。
人間心理の本質はもちろん、あらゆる欲求、行動原理など、歴史をさかのぼって鑑みると、現代とやっていることはなんら変わりません。
何がいいたいかというと、新規事業のアイディアを発掘するならば、ビジョンがまだ見えていない状態なのであれば、歴史を紐解いてみると自分または自社にしかできないベネフィットが見つかるということです。
これらを踏まえて、次の注意点を実践してみましょう。
未来の成功した姿を創造する
これから創造しようとしている新規事業は、どのような市場に受け入れられ、どのような競合他社の中で成長し、どのようなお客様にサービスを届けることになるのでしょうか。
そのゴール設定がぼやけている段階では、競合ひしめく現代社会で新規事業を打ち出そうとしても、残念ながら生き残ることは難しいでしょう。
ビジネスの本質として、ビジョンなどのメンタル、つまり心を先に定めて、後から実績、つまり行動を追いつかせるという姿勢が重要です。
事業の目的を明確にする
経営陣や管理職が理解していればいいわけではありません。
経営者、管理職は当然理解しつつ、リーダー層や一般社員、アルバイトまで理念は浸透させるようにしましょう。
事業において、目的は新規事業のゴール地点、つまり登山でいうところの頂上を指します。目標は、目的に向かって前進していく中で訪れる、途中途中の中継地点というイメージです。
「途中で臨機応変に対応しながらゴール地点をイメージしていく」では必要のないリスクが伴うことがあります。臨機応変に取り組もうとすると、ある地点から目的地がぼやけてしまって、最終的なゴール地点を見失ってしまいかねません。
ゴール地点が揺らぐものではどんな新規事業を立ち上げてもうまくいくものではありません。新規事業のゴール地点にたどり着くまでに、目標を一つ一つ達成していく中で、目的地を見失わないようにすることです。
まずは質より量にこだわろう
最初から「弊社は質重視の商品を展開していきます。」これはとても聞こえのいいものではありますが、残念ながらこの新規事業は失敗する可能性が多分にあります。
なぜなら、最初から質重視ということは、最初からお客様を選んでしまっているということになります。
年収はこれくらいで、事業規模はこれくらいで、従業員はこれくらいの人数で、生活環境は奥さんと子供がいて都内でマンションで、、などと、ペルソナ設定をするのはとても大切です。しかしながら、「このお客様しか弊社は求めていませんので、このお客様以外のお客様は当社ではサービスを提供することはできません」となりがねません。
商品単価がとても高額で、お金がなければ買えないというのと、そもそもお客様がお金を払えるのにターゲットが違うから販売できないというのでは、意味が全く異なります。
質が高いもので、商品の販売サポート範囲も狭くなってしまってはいけないということです。
コカ・コーラが飲む人を選んでいることはなく、カフェのケーキが自分から「あなたに食べて欲しくありません」ということもありません。
つまり、量をたくさん提供することを中心にするからこそ、レモン味のコカ・コーラは生まれるし、ショートケーキだけじゃなくチョコレートケーキやモンブランが生まれた、ということにもなります。
最初はとにかく質より量。これはソフトバンクの孫正義氏も名言しているくらい大切な価値観です。
新規事業成功の公式
経営者や管理職をしていると、つい自分の固定概念にとらわれてしまいがちです。
誰よりも柔軟でスピード感のある行動を求められるのが経営者ですが、なかなかそうもいかないことも多いです。
この新規事業を興すアイディアも、この固定概念が多くの場合邪魔をします。
今は特にコロナ禍の影響が続いていますし、これからも対応しなければいけないでしょう。そこで、コロナ禍における新規事業を構築するための公式を残したいと思います。
独創性
先ほどからコカ・コーラを例にしているので、今度はスターバックスのコーヒーを例にしたいと思います。
スターバックスの商品全体における「独創性」は、一体どこにあるのでしょうか?
スターバックスの独創性は、販売している商品にあるとされています。
販売している商品
実はスターバックスのメイン商品はコーヒーではありません。
マーケティングを学んだ人やスターバックスのお店の中でコーヒーを楽しむのが好きな人はお気づきかもしれません。
スターバックスのメイン商品、それは「空間」です。つまり、ドライブスルーで好きな商品をスマホアプリで注文してお店の中に入らずに去ってしまう人は、商品を半分しか受け取っていないようなイメージになります。
スターバックスは、あのモダンで居心地がよく、ソファーは座り心地がよくて、小さい丸テーブルではお友達や家族でカンタンなコミュニケーションを味わいつつ、勉強や仕事をしたい人は作業もできるようになっています。
実際にスターバックスのことを少し調べていただくと、「空間を販売しています」と明言しています。
つまりこれが、スターバックスの他社から事業としてオリジナリティ、つまり独創性あるスタンスを確立するための戦略だといえます。
問題解決
スターバックスはテーブルや机は少し狭めになっており、長時間居座るには少々居心地の悪さがあると言って間違いありません。
これがファミレスであれば、家族で大きなテーブルでお食事を味わうレストランとしての立ち位置がありますが、スターバックスが販売しているのは、あくまでも空間です。
そこで、「がんばる現代人が、ちょっと安心して一息つける場所」というブランディングにすれば、レストランやコメダ珈琲などとは解決できる問題が変わってきます。
これから打ち出していく自社の新規事業が、将来お客様となってくださる方々のために、どんな問題解決を提供できるのか。
これを俯瞰しながら丁寧に探っていきましょう。
収益モデル
残念ながら、今この世界で新規事業を興そうとしても、多くの場合がレッドオーシャン、つまり飽和している状態です。
その中で新規事業を興してみても、しっかりゴール設定がされていて、提供するサービスの柱が打ち立てられていないと、根性論でどうがんばってみても、残念ながら失敗してしまう可能性が高いです。
「どんなペルソナに販売するか」という価値観は、ここで特に力を発揮します。
自社が圧倒的に高級志向な商品を開発したとしても、売りたいお客様が破産スレスレの人であれば、お金を支払うことはできません。
「この新規事業のメインのペルソナは○○というイメージで、メインのペルソナ以外にも△△な人も多く集まってくる可能性があるので、ダウングレード版も準備しておき、「見込み客」として丁寧に接していこう」というマーケティング戦略がとても大切になります。
つまり、この3つを最低限すべて実践した後、初めて新規事業を創造するための会議が設けられるといえます。
なんとなく会議ほど時間を無下にしてしまうことはありませんので、一つ一つを丁寧に解釈していきましょう。
新規事業はあとから修正できる
新規事業を構築するにあたり、次のような疑問を抱く人がいます。
「新規事業を販売するマーケティングを構築し、商品も無事開発ができ、営業や事務など人財配備も完了した。でも売れない。この場合、商品をリフレッシュすることはできるのでしょうか?」というものです。
安心していただきたいのは、「可能である」ということです。
もちろんその企業の収益の状態によって取れる戦略はまったく変わってきます。入ってきた人財や市場の動向によっては販売戦略も大きく変更しなければ生き残れないこともあります。
どんなに入念にリサーチを重ね、丁寧にアイディアを練り、人材育成をしたとしても、絶対に勝てる事業などは存在しません。絶対に勝てない代わりに、少しでも負けにくい事業を興すことが大切になります。
そこで力を発揮するのが、次のような役割です。
- マーケティングチーム→売上を作る
- 営業・セールスチーム→売上を倍化する
- 人材育成チーム→社員のパフォーマンスの向上
- 経理事務(バックオフィス)→それぞれの部署のサポート
こういった部署があるのは当たり前のように感じてしまいますが、経営者がゼロから事業を構築する際、最初から人財が完璧にそろっていることなどあり得ません。
途中で生じた課題に対する臨機応変的対応、顧客の成功を実現するカスタマーサクセスなど、新規で事業を興すというのは、それだけ大きな課題が降りかかってくるということです。
昨今のwebマーケティングなどの事業であれば、一人ですべてを完成することも可能です。しかし、それはどこまでいっても一馬力に過ぎません。
「身体が二つあったら、、」「脳がもう一つあったら、、」こう心の声を漏らす経営者の方は少なくないでしょう。
こういうとき、客観的な意見をくれるコンサルやコーチなどが脇を固めていてくれると、経営者としては判断材料が増えることになるので、無理や無駄が減っていきます。
結局どこまでいっても「PDCAサイクル」
「PDCAはもう古い」よくきく言葉です。
しかしながら、新しくどんなメソッドが生まれてこようと、PDCAを元にして成功した企業は数知れず。
誰かが考えた「今どきは○○○○だ」ということを真に受けてしまうのは、すごく時間がもったいないといえます。
PDCAが古いのではなく、とらえ方の問題だと気づけた人から、ビジネスは成功していくといっても過言ではありません。
目先に振り回されないように、一つ一つを丁寧に取り組んでいき、道半ばで何か大きな課題が生じてしまった場合には、その段階で一度立ち止まってみて、取り組み内容とその先に見える道を精査する。
そうすることで、ちょっと苦戦を強いられたとしても、座礁することがなくなります。
打ち立てた新規事業はどんどん波に乗っていって、お客様にご提供できるサービスも拡大していきます。
一つの事業で成功したら、さらに次の施策に取り出します。
- 高級化
- 体験版
- コミュニティ化
これらのうちどれかをやればいいのではなく、主力商品が決まって成功の形が見えるようになってきたら、ペルソナ設定した見込み客が喜んでくれる姿を想像しながら、さまざまなシーンに対応していける商品を打ち出していきましょう。
こうした公式を一つ一つ丁寧に取り組んでいくことができれば、新規事業のアイディアはどんどん湧き出てくるし、どんなビジネスモデルでも着実に前進していき、リアル店舗であればフランチャイズ展開も夢ではありません。
コツは、焦らず、丁寧に、着実に取り組むことです。
とても大切な新規事業の概念をお伝えさせていただきましたので、何か気にあることがありましたら、ぜひ気軽にお声かけください。